賃貸住宅の孤独死対策は? 特殊清掃費用や連帯保証人の負担についてもご紹介

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現在、孤独死は決して珍しいことではありません。賃貸物件の大家や管理会社は、「自分の管理物件で孤独死が起きたらどうしたらいいか」と不安に思っている人もいるでしょう。しかし、悩んでいるばかりでは不安は解消されません。予防方法や万が一孤独死が発生した場合の対処方法を知っておくことが大切です。

今回は、孤独死の予防方法や対策方法を紹介します。

  1. 孤独死の定義と現状
  2. 賃貸における孤独死の問題点
  3. 賃貸の孤独死を巡る対策
  4. 賃貸で孤独死が起きたときはどうすべき?
  5. 孤独死と特殊清掃
  6. 孤独死が起きた部屋の清掃についての注意点
  7. 特殊清掃について
  8. 賃貸物件の孤独死についてよくある質問
  9. まとめ

この記事を読めば、孤独死が起きてしまった部屋を元通りにする方法も分かるでしょう。


1.孤独死の定義と現状

まずは、孤独死の定義や現状について見ていきましょう。

1-1.孤独死の定義とは?

孤独死の定義は、今のところ法律などでは決まっていませんが、基本的には、住人が自宅で1人で死亡している状態をいいます。主な死因は、老衰・病死・でき死・自殺などです。

1-2.時代背景・現状

現在、孤独死は増加傾向にあります。高齢化社会や核家族化に伴い、高齢者の1人暮らしが増えてきていることが、孤独死増加の原因といえるでしょう。

高齢化社会を迎え、孤独死は増加傾向にあるのですね。
はい。だからこそ対策を立てておくことが大切です。

2.賃貸における孤独死の問題点

賃貸住宅で孤独死が発生すると、さまざまな問題があります。一つずつ見ていきましょう。

2-1.孤独死は急増のおそれがある?

前述のとおり、高齢者の1人暮らしは、孤独死に結びつきやすくなります。高齢化社会はさらに加速していくことが予見されており、それに伴い孤独死の件数も増加するでしょう。

2-2.賃貸での孤独死が抱える問題とは?

2-2-1.コミュニティーの過疎化

賃貸物件では、住民同士のコミュニティーが薄まる傾向にあります。隣にだれが住んでいるのか分からない・ほかの住民とはあいさつをする機会もない、というケースも少なくはないでしょう。

2-2-2.高齢者の入居拒否

賃貸物件で孤独死が発生すると、貸し主にとっては面倒なことが多くなります。清掃や連帯保証人への連絡などです。また、孤独死が発生した物件は「事故物件」となってしまい、次の住人に告知義務があったり家賃を下げたりする必要があります。それらの面倒事を避けるためにも、最初から高齢者を入居させないという貸し主は少なくありません。

2-2-3.清掃の問題

孤独死が発生した場合、家族や連帯保証人の責任で部屋を清掃する必要があります。万が一、保証人などに連絡が取れず、身内が見つからない場合は、貸し主が清掃費用を負担する必要があるのです。

孤独死が起こった部屋の片付け問題もあるのですね。
はい。遺族と連絡がつかないことも多く、大家や管理会社の負担が増すこともあります。

3.賃貸の孤独死を巡る対策

次に、賃貸物件での孤独死に関する対策などをご紹介します。

3-1.入居時の対策

賃貸物件に入居する際は、連帯保証人が必要となります。高齢者の連帯保証人は、娘息子など、若い人に依頼したほうがよいでしょう。連絡が取りやすく身分がしっかりしている人のほうが、のちのちトラブルになりにくくなります。

3-2.病気などの対策

高齢者が通院している場合は、病院名や連絡先を確認しておくと、いざというときに便利です。本人が倒れたりして意思疎通ができないときに、代わりに病院に連絡する必要があります。

3-3.コミュニティーの復活

日頃からあいさつや軽い会話、体調の確認を行うなどして、高齢者を孤立させないことも、孤独死を防ぐ一手になります。

現在も、いろいろと対策が行われているのですね。
はい。しかし完全に孤独死を予防することはできていないのが現状です。

4.賃貸で孤独死が起きたときはどうすべき?

次は、万が一賃貸物件で孤独死が発生してしまった際の対策をご紹介します。

4-1.だれが責任を負うのか?

孤独が発生してしまった場合は、基本的には連帯保証人が責任を請け負うことになります。高齢者への訪問や管理によって、孤独死を防ぐことができた可能性があるためです。

4-2.清掃・原状回復について

孤独死が発生してしまった部屋は、次の住人のために、清掃して原状回復する必要があります。死後、警察に通報し、警察による現場検証などが解除されて部屋に入れるようになったら、身内・貸し主・清掃業者などが入室できるようになるのです。詳細な清掃内容については、次項よりご説明しましょう。

責任の所在があいまいになることもありますね。
その場合、大家さんや管理会社が自己負担で部屋を元通りにしなければなりません。

5.孤独死と特殊清掃

この項では、孤独死と特殊清掃についてご紹介します。

5-1.特殊清掃とは

孤独死が発生した物件の清掃は、「特殊清掃員」に依頼するのが一般的でしょう。特殊清掃員とは、遺体が腐乱したり、ひどく汚れた部屋の清掃をする業者・人のことです。遺体から出た体液・血液・汚物などの清掃も行います。また、消毒・消臭や、汚れのついた家財の撤去なども、特殊清掃員の仕事です。

5-2.特殊清掃業者の選び方

特殊清掃業者を選ぶには、以下のポイントを抑えましょう。

  • 地域に対応している
  • すぐに対応してくれる
  • 特殊清掃のノウハウ・経験が高い
  • 料金が分かりやすい
  • リフォーム会社と提携している(リフォームが必要な場合、別々に依頼するより安くなりやすい)

5-3.申し込みの流れ・料金

5-3-1.流れ

特殊清掃業者を見つけたら、電話やHPなどで問い合わせをします。特殊清掃は早めに対応してもらった方がよいので、電話のほうがスムーズでしょう。見積もりを行い清掃日が決まったら、実際に清掃をしてもらいます。

5-3-2.料金相場

特殊清掃の料金の相場をご紹介します。

  • ワンルーム:3万~10万円程度
  • 1DK:3万~15万円程度
  • 1LDK・2DK:5万~25万程度
  • 2LDK・3DK:9万~40万程度
  • 3LDK・4DL:12万~70万程度

特殊清掃費用は、同じ間取りでも金額に開きがあります。この開きは、汚れやにおいの程度、ものの多さなどによるものです。

普通の清掃ではダメなのですね。
はい。特殊清掃をしなければ、再度賃貸に出すことはできません。

6.孤独死が起きた部屋の清掃についての注意点

次に、孤独死が起きた部屋の清掃の注意点をご紹介します。

6-1.早期に清掃することが大切

夏場は、遺体の腐乱が進みやすくなるため、なるべく早めに清掃を依頼しましょう。汚れやにおいがしみこんでしまうと、清掃が大変になってしまいます。孤独死の発見後、警察に連絡したタイミングで、ある程度清掃業者をみつくろって連絡を入れておくとよいでしょう。

6-2.費用負担者の取り決め

早く清掃をしたいからといって、書類や契約もなしに料金を立て替えて支払うことは避けましょう。本来の負担者の代わりに、料金を立て替える場合は、必ず書類によるやりとりをしてください。

7.特殊清掃について

特殊清掃の内容や、なぜ特殊清掃員に依頼すべきかなどをまとめました。

7-1.清掃内容

特殊清掃には、以下のような作業内容があります。

  • 体液・血液などの除去
  • 汚れのついた家財などの撤去
  • 消毒
  • 消臭
  • 害虫駆除

7-2.なぜ特殊清掃員に依頼するのか?

遺体のあった賃貸物件の清掃は、特殊清掃員に任せましょう。自分でもできるかも? と思われるかもしれません。しかし、死臭や感染症のおそれもあるので、専門の準備なしには入室ができないこともあるでしょう。特殊清掃には、特別な消毒や消臭剤が必須なのです。

清掃は早い方がいいのですね。
それ以外に、ほかの居住者へのケアも必要になります。

8.賃貸物件の孤独死についてよくある質問

Q.幸い、死後の発見が早かったので、特殊清掃の必要はないのですが、片付けや遺品整理やなどはどうしたらよいですか?
A.遺品整理を専門に行っている業者に依頼しましょう。家財類を、不用品ではなく遺品として丁寧に扱ってくれます。買取も行っている業者であれば、家財類を買取に出すことも可能です。

Q.孤独死が発生した賃貸物件のリフォームの必要性は?
A.汚れやにおいの程度によっては、リフォームが必要なこともあります。体液やにおいが床下や、クロスより奥の壁面に付着してしまっている場合は、張り替え工事が必要となるでしょう。

Q.孤独死が発生した賃貸物件は、事故物件(訳あり物件)となってしまうのですか?
A.事故物件に明確な定義はないのですが、病死・老衰による孤独死も、事故物件として取り扱われてしまうことが多くなってきています。

Q.地域の見守りサービスや自治体の孤独死防止策が知りたい
A.厚生労働省により、孤独防止対策取組事例が紹介されています。参考にしてみてください。

Q.原状回復とは?
A.原状回復とは、借りたときの状態に戻すことをいいます。孤独死にかぎらず、汚れやにおい、シミなどは除去する必要があるのです。日焼けや家具を置いたあとなど、生活していたら自然にできてしまう汚れや傷については、対象外となります。自分で掃除・清掃する必要はなく、入居時に払った敷金がハウスクリーニング代として使用されることが多いでしょう。

9.まとめ

賃貸物件の孤独死について、ご紹介しました。孤独死の防止策・孤独死が発生してしまった場合の対策などがお分かりいただけたかと思います。いざというときにあわてないよう、事前に清掃業者などを見つけておくと安心です。日頃から、高齢者へ声掛けをしたり、様子をうかがうなどの対策も重要になるでしょう。