お焚き上げ・遺品供養の方法は? 依頼できる場所や相場を徹底解説

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故人の遺品整理をする際、「不用だけど捨てられないもの」の処分に困っている方は少なくないでしょう。
特に、故人が大切にしていた愛用品、人形、お守り、写真、宗教の道具などはそのまま捨てるには抵抗があります。
そのようなとき、利用したいのが「お焚き上げ」です。
今回は、遺品供養の方法のひとつとして、お焚き上げを紹介します。
お焚き上げとは、昔から日本で行われてきた遺品を処分する方法のひとつ。
神社仏閣で行われてきましたが、現在では遺品供養を行う会社がお焚き上げを行うケースも増えてきました。

  1. お焚き上げとは?
  2. お焚き上げを利用したいと思ったら?
  3. お焚き上げ以外の遺品供養の方法
  4. 業者と寺社仏閣、どちらにお焚き上げを頼んだ方がよいの?
  5. お焚き上げをしてくれる業者の選び方
  6. 遺品整理士について
  7. 遺品供養、お焚き上げにかんするよくある質問

お焚き上げを依頼したいけれど、どこに依頼すればよいか分からない。
どんなものがお焚き上げの対象になるのか分からないという方も多いでしょう。
この記事を読めばお焚き上げの由来から遺品整理の方法まで分かりますよ。
最近親族や親の遺品整理を始めた。遺品整理に悩んでいるという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.お焚き上げとは?

お焚き上げとは?

始めに、お焚き上げの意味や由来などをご紹介しましょう。
名前は知っているけれど利用したことがない、という方も少なくないと思います。
いったいどのようなときにお焚き上げは利用されているのでしょうか?

1-1.お焚き上げとは?

お焚き上げとは、「不用になったけれど捨てるのをためらうものを感謝の気持ちを込めて、天に返す」ための儀式です。
日本では、昔から「万物に霊魂(れいこん)が宿る」という考え方がありました。
だからこそ、「針供養」や「人形供養」などが行われますし、道具が古くなると神様になるという俗説もあるのです。
また「不用になったけれど捨てられない」というものも少なくないでしょう。
人形やお守り、故人の愛用品などがその一例ですね。
そのような品々を炎で浄化し、天上へ返すのがお焚き上げになります。
以前は神社仏閣で行われていましたが、現在では環境問題もあり専門の業者が行うケースも増えているのです。

1-2.お焚き上げは宗教由来?

お焚き上げはもともと密教の護摩業(ごまぎょう)が由来といわれています。
密教では火は神聖なものであり、煩悩(ぼんのう)や悪いものが炎の力で清められると考えられていました。
それを物品の供養に応用したのがお焚き上げの始まりです。
お焚き上げの歴史は古く、江戸時代には供養のために着物をお寺で焼いた、という記述が残っています。
現在のお焚き上げは仏教特有の行為、というわけではありません。
人形供養などは神社でも行われていますし、氏子(うじこ)や信徒(しんと)でなくても参加できます。
また、故人の愛用品を炎で浄化して天上に届けるという思想はアジア各地に見られ、中国や東南アジアでは、わざわざ燃やすために偽物のお金や紙でできた電化製品なども売られているのです。

2.お焚き上げを利用したいと思ったら?

お焚き上げを利用したいとき

この項では、お焚き上げを利用したい方のために、その方法やお焚き上げを依頼できる品物、さらに注意点などをご紹介していきます。
お焚き上げが依頼できる場所とはどんなところがあるのでしょうか?

2-1.お焚き上げを依頼できるものとは?

お焚き上げは、明確に「できるもの、できないもの」を区別していません。
しかし、お焚き上げをする場所によって、引き受けられるものを明確にしているところが多いのです。
たとえば、人形供養を引き受けているところでは、依頼できるのは人形だけになります。
場所によってはぬいぐるみもダメ、というところもあるでしょう。
また、寺社仏閣から授けられたお札、お守りのたぐいは、わざわざお焚き上げを依頼しなくても、寺社仏閣に集積場が設けられているところが多いのです。
ですから、お参りに行ったついでに初穂料(はつほりょう)やお布施(ふせ)を包み、置いてくれば大丈夫でしょう。
なお、いくら故人が愛用していたからといって、電化製品やCDなど燃えないものはお焚き上げできません。
この場合は、僧侶にお経をあげてもらったり神官に祝詞(のりと)をあげてもらったりしてから捨てる形になります。
さらに、仏壇(ぶつだん)や神棚などの宗教の道具もお焚き上げを希望する方が多いのですが、大きさによっては難しいものもあるでしょう。

2-2.お焚き上げを行ってくれる場所とは?

現在、お焚き上げを行ってくれる場所は大きく分けて2つあります。
ひとつは、神社仏閣などの宗教施設。もうひとつは、遺品整理業者やお焚き上げを専門に行う業者です。
神社仏閣の場合は、檀家(だんか)や氏子(うじこ)しか受け付けてくれないところと、全国から供養を受け付けてくれるところがあります。
最近は、ホームページを開設している寺社仏閣も多いので、確認してみるとよいでしょう。
また、人形供養や遺品供養で有名な寺社仏閣の場合は、宅配便で供養の品を受け付けてくれるところもあります。
そのような場所は、供養できるものとできないものがはっきりとしており、料金も明確です。
そのため、かえって依頼しやすいでしょう。
なお、供養で有名な寺社仏閣でも、供養をする時期が限られているところもあります。
その場合は、受付期間が設定されていますので、そこに合わせて持ちこみましょう。
氏子(うじこ)になっている神社や菩提寺(ぼだいじ)がある場合は、お焚き上げを個人的に相談してみてもよいですね。
設備が整っていれば、引き受けてくれるところもあります。
この場合、料金を初穂料(はつほりょう)やお布施(おふせ)として包んでください。
相場が分からなければ尋ねればよいでしょう。
遺品整理業者やお焚き上げを専門に行う業者は、料金設定も明確です。
また、遺品整理から遺品供養まで一手に引き受けてくれるところもあるでしょう。
故人が遠方に住んでいて、遺品を整理する時間がないという場合は、整理から供養までお願いすることもできます。
また、業者に依頼した方が、より多くの品々のお焚き上げができるでしょう。
たとえば、故人が愛用していた服、日用雑貨、美術品などもお焚き上げを依頼できます。
さらに、位牌、遺影、仏壇なども問題ないでしょう。
遺品によってお焚き上げをする場所を使い分けても構いません。
お焚き上げを行ってくれる施設一例
この3つの施設は全国から郵送で幅広く遺品を受け付けてくれます。

2-3.お焚き上げを依頼する際の注意点

お焚き上げを依頼する場合は、日程に余裕を持って申し込みましょう。
いきなり遺品を持ちこんで、供養を依頼してはいけません。
また、不燃ゴミや粗大ゴミに該当するものも、お焚き上げは無理です。
電化製品、ガラス製品、瀬戸物など、意外と多いので気をつけてください。
さらに、お寺に神棚を持ちこんだり、神社に位牌や遺影のお焚き上げを依頼したりするのはやめましょう。
日本の宗教施設はほかの宗教に寛大ですが、それでも明らかに宗派の異なるものを持ちこむのはマナー違反です。
なお、教会は基本的にお焚き上げを行っていません。
また、仏壇をお焚き上げする前には、御霊抜き(みたまぬき)という作業が必要です。
これをすることで、仏壇が先祖を祀(まつ)る祭壇から、ものになります。
菩提寺(ぼだいじ)に依頼するか、近所のお寺に依頼しましょう。
また、有価証券、通帳、お金などもお焚き上げはできません。

3.お焚き上げ以外の遺品供養の方法

遺品供養の方法

お焚き上げをするまでもないけれど、遺品を供養したいと思う方は遺品をお寺や神社に収めたり、僧侶や神官にお経や祝詞(のりと)を唱(とな)えてもらったうえで、処分したりする方法があります。
主に東北地方ですが、故人の遺品を専門に収める施設もあるのです。
さらに、寺社仏閣によっては特定の品だけを供養するために集めていることもあります。
人形供養で有名なお寺や神社もそのひとつですね。
そのような場所は、郵送で供養の品を受け付けてくれるところもありますので、依頼してみてもよいでしょう。
なお、依頼すれば遺品をお預かりしますという寺社仏閣もありますが、あまり大きなものは断られます。
また、預かった遺品は順次処分していくところが多いでしょう。
遺品整理業者に依頼すると、供養したうえに処分までしてくれるところもあります。
なお、位牌の引き取り手がいないという場合は、永代供養料を払いお寺に収めることも可能です。
都市部では寺院の中にコインロッカー式の墓地を作り、遺灰、位牌、骨壺などをすべて収めて供養できるサービスも人気を集めています。

4.業者と寺社仏閣、どちらにお焚き上げを頼んだ方がよいの?

お焚き上げの頼み先?

今は、環境に配慮してお焚き上げを行う寺社仏閣の数は減っています。
宗教の道具以外のお焚き上げは、業者に依頼した方がスムーズに行えるということも多いでしょう。
特に、都市部の場合は菩提寺(ぼだいじ)など知らないという家庭も少なくありません。
また、菩提寺(ぼだいじ)はあるが、田舎で遠いという場合もお焚き上げを依頼しにくいでしょう。
ですから、お焚き上げを依頼したいが、品数が多く速く片付けたい場合は業者に依頼した方がよいですね。
逆に、故人が深く信仰している場所があったり、供養を引き受けてくれる宗教施設があったりしたらそこに依頼した方が心情的にもすっきりとするでしょう。
臨機応変に対応してください。

5.お焚き上げをしてくれる業者の選び方

お焚き上げ業者?

今は、遺品整理を行ってくれる業者の需要が高まり、新規参入する業者が増えています。
そのため、お焚き上げや遺品整理を行う業者と顧客の間でトラブルになるケースも少なくありません。
遺品整理業者に依頼する場合、時間がなくて急いで決めたということが多いのですが、そうなると業者のいいなりにお金を払ってしまいがちです。
ですから、時間に余裕を持って業者を探しましょう。
たとえ賃貸物件に遺品が残されて、すぐに片付けてほしいという依頼があったとしても、1か月は待ってもらえます。
その間に、料金設定が明確であったり、見積もりを正確に出してくれたりする業者を探してください。
実績が少なく、不用品回収のように遺品を回収しようとする業者は信頼できません。
また、ろくに見積もりも出さない業者も依頼しない方がよいでしょう。
遺品整理業界はまだ歴史が浅く、遺品整理の相場などもできあがっていません。
しかし、不用品回収の料金と比べても明らかに高すぎる、という場合は断りましょう。

6.遺品整理士について

遺品整理士について

この項では、最近注目が集まっている遺品整理士についてご紹介します。
遺品整理士の役割はどのようなものがあるのでしょうか?

6-1.遺品整理士とは?

遺品整理士とは、遺品整理士認定協会が認定を行っている民間資格です。
遺品整理の需要は前述したように急速に高まっていますが、それにともなってトラブルも増加しています。
そこで、遺品整理のプロを養成することにより、遺族がスムーズに遺品整理を行って故人をしのぶ時間が作れるようにするために制定されました。
ですから、遺品整理士が勤めている遺品整理業者に依頼すれば、トラブルもなくスムーズに遺品整理を行えるでしょう。

6-2.遺品整理士に依頼できること

遺品整理士は、遺品の整理を行うために必要な知識を身に着けています。
たとえば、不用品の処分方法や、リサイクルの方法。さらに、遺品と遺産の区別の方法、お焚き上げをしてくれる業者との連絡、自治体との連絡なども取り行ってくれるでしょう。
また、遺品整理士は遺品に敬意を持って接してくれます。
たとえ、量販品であっても、遺族にとっては大切な遺品である場合もあるでしょう。
故人の亡くなり方によっては、遺族の心が乱れている場合もあります。
そんなときに、遺品を乱暴に扱われてはトラブルの原因になるでしょう。
遺品整理士に依頼すれば、遺品の扱い方にかんしては心配はいりません。

6-3.遺品整理士の探し方

遺品整理士は、たいていどこかの遺品整理業者に所属しています。
ですから、遺品整理士が常駐している遺品整理業者に依頼をすれば、遺品整理士に遺品整理を任せられるでしょう。
また、これから遺品整理士の活躍の場は広がっていくことが予想されます。
近い将来、自治体の福祉課に遺品整理士が常駐していたり、葬儀社に遺品整理士が所属するようになるかもしれません。

7.遺品供養、お焚き上げにかんするよくある質問

お焚き上げに関するよくある質問

Q.遺品供養やお焚き上げはどのくらいの量まで引き受けてもらえる?

A.寺社仏閣に依頼する場合は、それぞれの施設に確認してください。
業者の場合は、大量に依頼することもできますが、その分料金は高額になります。

Q.お焚き上げをしたいけれど、施設も寺社仏閣もない。どうしよう?

A.場所によっては郵送で受け付けてくれるところもあります。
どうしても見つからない場合は、無理にする必要はありません。

Q.個人情報にかかわるものはお焚き上げを依頼できる?

A.写真や日記などはお焚き上げを依頼できますが、HDDやパソコンなどは不可能です。
消去したうえで処分しましょう。

Q.金銭的に価値のあるものをお焚き上げしてもよいですか?

A 構いませんが、後々トラブルにならないよう遺族の意見を一致させてから依頼しましょう。

Q.業者でも寺社仏閣でもお焚き上げを断られるものは何?

A 燃えないもの、危険物、生ものなどはどこでも依頼できません。

まとめ

お焚き上げのまとめ

いかがでしたか?今回は遺品供養やお焚き上げについていろいろとご紹介しました。
捨てたいけれど捨てられないというものは意外とたくさんあるでしょう。
取っておけないものは、遺族の心が軽くなるこのようなやり方で処分してください。