生前贈与のメリットは? 相続との違いや財産を守るポイントを詳しく!

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「生前贈与をすると何かとメリットが多いと聞いたが、本当だろうか」「生前贈与と相続では、どんな点が違うのだろう」とお考えではありませんか? 生前贈与は、自分が生きているうちに行える節税対策で、やり方によって高い効果を得ることができます。大切な財産を税金でなるべく目減りさせないためには、正しい知識による節税対策が必要です。しかし、どんな方法で進めるとよいのか、どんな注意点があるのかなど、よく分からないこともあるでしょう。

そこで今回は、生前贈与のメリットについて詳しく解説します。

  1. 生前贈与とは?
  2. 生前贈与と相続の違いは?
  3. 生前贈与のメリットは?
  4. 生前贈与のデメリットは?
  5. 生前贈与をスムーズに行うポイント
  6. 生前贈与以外におすすめの節税対策
  7. 生前贈与のメリットに関するよくある質問

この記事を読むことで、生前贈与のメリットや手続きをスムーズに進めるポイントがよく分かります。生前贈与をお考えの方は、記事を読んでみてください。

1.生前贈与とは?

最初に、生前贈与とはどんなものか見ていきましょう。

1-1.生きているうちに財産を親族に分け与えること

生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を親族に分け与えることです。分け与える財産には、現金・預貯金・有価証券・土地家屋などさまざまなものがあります。中には、双方が生前贈与と意識していなくても、受け渡しがあった金額や評価額、タイミングなどによって条件を満たすことがあるので注意が必要です。

1-2.生前贈与を行う人が急増している

相続税の負担を少しでも軽くするために、生前贈与を行う人が急増しています。特に、財産が多い人ほど、将来自分が亡くなったときに多額の相続税が発生するからです。中には、相続したものの相続税を支払うことができず、大切な不動産を手放すケースも増えています。生前贈与をうまく活用して相続税対策をすることは、被相続人と相続人のいずれにも将来の安心につながるのです。

2.生前贈与と相続の違いは?

生前贈与と相続では、どんな点に違いがあるのでしょうか。

2-1.財産が渡るタイミング

生前贈与と相続では、財産が渡るタイミングが異なります。生前贈与は、財産の所有者が好きなタイミングで渡すことが可能です。相続では、財産の所有者が亡くなった時点で、強制的に発生します。また、生前贈与は生きている間ならいつでもできますが、相続は亡くなった後で法律に基づいて手続きが行われるのが特徴です。なお、相続では、相続人すべての同意があっても相続手続きに時間がかかるため、本当の意味で所有権が移るまでには、数か月以上の日数が必要になります。

2-2.課せられる税金の種類や申告時期

生前贈与と相続では、課せられる税金の種類や申告時期も異なります。具体的には、以下を参考にしてください。

  • 贈与税:生前贈与に対してかかる。贈与を受けた年の翌年に申告する
  • 相続税:遺産に対してかかる。相続の発生(被相続人の死亡を知った日の翌日)から10か月以内に申告する

生前贈与では、財産のごく一部を贈られることがほとんどであり、納税額がびっくりする金額になることは少数で、支払いできないケースはほぼありません。対して、相続では、財産すべてを法定相続人で分割した後、実際に相続する財産に対して課税されます。たとえば、土地家屋などの不動産がほとんどで、現金・預金が少ない場合は、土地家屋の評価額が高額だと相続税を支払えないケースも多くなるでしょう。

2-3.渡す金額や内容・相手の自由度

生前贈与と相続の違いとして、渡す金額や相手の自由度も挙げられます。たとえば、以下のとおりです。

  • 生前贈与:財産の所有者が金額や渡す相手を自由に選べる
  • 相続:基本的には、法定相続人だけが法定相続分の財産を受け取ることができる

確かに、相続でも遺言書により、特定の法定相続人に対し、相続させる財産の内容を指定することは可能です。しかし、特定の法定相続人を除外することは認められません。渡す金額や内容・相手の自由度は、生前贈与のほうが高くなります。

2-4.双方の合意の有無

生前贈与は、贈る側と贈られる側の合意に基づいて行われます。つまり、どちらか片方でも拒否すれば成り立ちません。しかし、相続はあくまでも法律に基づいて手続きされるため、双方の合意がなくても進められることがあります。法定相続人と認められた場合は、法律によって決まった取り分を請求することが可能です。亡くなった人と生前の折り合いが悪くても、関係ありません。

3.生前贈与のメリットは?

生前贈与にはどんなメリットがあるか、主なものを詳しくご紹介します。

3-1.節税対策になる

生前贈与には、1年に付き1人110万円以下の非課税枠があります。つまり、非課税枠を超えずに生前贈与すれば、課税されることはありません。しかも、12月31日でリセットされるため、理論上では毎年非課税枠内で生前贈与を行うことが可能です。うまく活用すれば、将来発生する相続税の支払いを大きく減らすことができます。

3-2.自分の意思で財産を渡せる

生前贈与のメリットとして、自分の意思で財産を渡せることも挙げられます。自分で苦労して築き上げた財産でも、亡くなった後では自分の意思を反映して分配できません。たとえば、看病や介護をしてくれた家族により多くの財産を残したくても、遺言書を作らずに亡くなると難しくなります。その点、生前贈与なら、自分の意思により特定の相手に多くの財産を渡すことができて便利です。

3-3.気持ちが楽になる

生前贈与を行うことで実際に相続する財産を減らすことができ、気持ちが楽になるのもメリットです。財産が多い人ほど、自分が亡くなったときの相続争いが心配になります。しかし、できるだけ生前贈与しておけば、悩みの種が減るはずです。また、財産を処分して少なくしておけば、心残りも減るでしょう。

3-4.大切な財産を前倒しして有効活用してもらえる

生前贈与では、大切な財産を前倒しして有効活用してもらえるのも大きなメリットでしょう。たとえば、子どもが家を建てる、孫が進学するといったライフイベント用に使ってもらうことができます。後から相続により受け取るよりも、先に有効活用したほうが理にかなうケースも多いものです。生前贈与をした相手から、直接感謝されるのも相続では味わえないポイントといえます。

4.生前贈与のデメリットは?

生前贈与によるデメリットについても、正しく理解しておきましょう。

4-1.一定金額以上になると贈与税がかかる

生前贈与は、一定金額以上になると贈与税がかかるのが大きなデメリットです。非課税枠を超えて贈与してしまうと、多額の贈与税がかかり節税効果が薄れてしまいます。生前贈与は、1月1日~12月31日までを一区切りとして判断するため、分割して贈与してもタイミングや金額によっては、課税されることがあるので注意しましょう。

4-2.定期贈与と見なされて課税対象になることがある

生前贈与を毎年決まった金額・タイミングで行うと、場合によっては定期贈与と判断されて課税対象になることがあります。毎年定期的に生前贈与を行うと、税務署のチェックが入りやすいのも事実です。特に、以前何らかの理由により税務調査が入ったことがある場合や、毎年多額の所得があって確定申告をしている場合などは、注意しましょう。

4-3.死亡前の3年間は相続税の対象になる

せっかく生前贈与を行っても、死亡前の3年間は生前贈与加算として相続税の対象になってしまいます。将来の相続税対策として生前贈与を行ったものの、タイミングが悪ければ無駄になるのがデメリットです。生前贈与加算は、本来非課税になるはずの110万円未満のケースであっても対象になります。ただし、生前贈与の目的によって各種非課税特例もあるので、詳しくは税理士などに相談してみるとよいでしょう。

4-4.不動産の贈与は税金が多くかかる

生前贈与であっても、不動産を分け与える場合は、税金が多くかかるのがデメリットです。不動産の名義変更は、登録免許税と不動産取得税の課税対象になります。生前贈与での名義変更では、登録免許税・不動産取得税がそれぞれ評価額の2%~3%ほどかかるのが一般的です。また、110万円を超える評価額では贈与もかかります、相続による名義変更では、登録免許税が0.4%、不動産所得税が非課税になることを考えると、節税対策になるとはいえません。

4-5.過度の生前贈与は生活の質を下げることがある

いくら財産を多く残したいとしても、無理をして生前贈与し過ぎないことも重要です。たとえば、離れて暮らす子どもたちに生前贈与として現金を分け与えた結果、手元資金が不足して、生活の質が大幅に低下することがあります。また、いつ病気やケガなどで入院したり、介護が必要になったりするか分かりません。手元資金が不足していれば、十分なケアを受けられずに困ってしまうことでしょう。子どもたちのことを考えるのも大切ですが、自分たちが豊かに安心して暮らすための資金を確保することも忘れないでください。

5.生前贈与をスムーズに行うポイント

生前贈与をスムーズに行うポイントを、詳しくご紹介します。

5-1.できるだけ早めに実施する

生前贈与を行うと決めたら、できるだけ早めに実施することが大切です。今、重い腰を上げることが、より多くの財産を残すポイントといえます。生前贈与を行っても、死亡前3の3年間は生前贈与が無効となり、相続税の対象になるからです。いつ亡くなるか分からないからこそ、できるだけ早く生前贈与を進めておきましょう。

5-2.中長期計画を立てて実施する

生前贈与を行うときは、中長期計画を立てて実施するとよいでしょう。このとき注意したいのが、定期贈与と判断されないようにすることです。たとえば、面倒だからといって、同じ金額を同じタイミングで生前贈与するのは、定期贈与と見なされるリスクが高まります。理想的なのは、子どもが各種資金を必要とするタイミングで生前贈与を行うことです。たとえば、住宅を取得したときの資金援助や、孫の教育資金の援助などは、条件が合えばそれぞれ非課税枠が適用できることがあります。そのほかにも贈与目的による各種特例を活用すれば、より大きな節税も可能です。

5-3.生前贈与の記録を文書で残しておく

生前贈与を行ったら、速やかに文書で記録を残しておきましょう。特に、現金やそのほかの財産を手渡しした場合は、注意が必要です。きちんと記録に残すことで、渡した・渡さないといったレベルのトラブルを防ぐことができます。まずは、少額であっても生前贈与を行ったときは、年月日・金額もしくは内容・相手・渡した目的などを記録しておいてください。渡した人から、領収証をもらっておくのもよい方法です。なお、生前贈与の記録を正確に残しておけば、遺言書の作成にも役立ちます。

5-4.生前贈与に詳しい税理士に相談する

生前贈与をスムーズに行うには、生前贈与の手続きや節税対策に詳しい税理士に相談するとよいでしょう。生前贈与で節税するためには、法律の正しい知識が必要不可欠です。相談料はかかりますが、法律の知識に基づいたアドバイスを受けることができます。また、相談することで精神的な負担が軽くなったり、将来相続が発生したときにそのまま相続手続きを依頼しやすかったりする点でもおすすめです。

6.生前贈与以外におすすめの節税対策

生前贈与以外におすすめの節税対策を詳しくご紹介しましょう。

6-1.墓地を生前に購入しておく

墓地を生前に購入しておくと、節税対策になります。墓地は、非課税財産と見なされるからです。最近では、終活の一つとして自分のお墓を自分で用意するという考えも定着してきました。実際に、条件のよい墓地は早々に購入希望が殺到している状態です。生前に墓地を用意しておくのは縁起が悪いと考える人もいますが、分家などで墓地を持っていない場合は、亡くなった後で遺族に負担がかかります。遺族の負担を軽くするためにも、墓地を生前に購入することを検討してみてください。

6-2.二世帯住宅を建てる

二世帯住宅を建てると、相続税の節税対策になります。ただし、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 土地を親の名義のままにしておく:贈与税や譲渡税がかからない
  • 建物は親子の共有登記にする:小規模住宅等の特例を適用できる場合がある

ただし、建物の構造や実際の居住状況などによっては、十分な節税対策に至らないこともあります。後から困ることがないよう、二世帯住宅を建てる前に注意点をよく理解しておくことが大切です。

6-3.生命保険を活用する

生命保険を活用することも、節税対策になる場合があります。契約者が死亡して生命保険を受け取るときは、以下のような非課税枠を適用することが可能です。

  • 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

今のうちに将来を見越して生命保険に加入しておけば、相続税を節税することができます。なお、生命保険の受取人は。可能ならば配偶者にしておくのがベストです。配偶者の税額控除により、さらなる節税が可能になります。また、保険金の掛け金を生前贈与し、自分を被保険人、生前贈与した相手を受取人に指定すれば、非課税枠の中で生命保険に加入することができてさらにお得です。

6-4.生前整理を行う

生前整理を行うことも、相続税の節税対策につながります。生前に身の回りの不用品を処分しておけば、将来自分が亡くなったとき、遺品整理にかかる費用を減らすことが可能です。生前整理を行わないでいると、遺族が悲しみの中で作業をすることになります。遺品整理は遺族に追って心身共に大きな負担となることからも、早いうちに生前整理を行って不用品を処分し、身の回りをスッキリさせておきましょう。所有財産の把握と整理という意味でも、生前整理は大きな意味を持ちます。

7.生前贈与のメリットに関するよくある質問

最後に、生前贈与のメリットに関する質問に回答します。それぞれ確認してください。

Q.子どもが複数人いる場合、同じ金額を生前贈与したほうがよい?
A.子どもたちの間で無駄な争いが起こるのを避けるためには、同じ金額を生前贈与したほうがよいでしょう。ただし、特定の子どもが土地家屋を相続する、事業を受け継ぐといった場合は、将来の相続分も考え、子どもたちの間で金額に差を付けても構いません。なお、念のため生前贈与した年月日・相手・金額を書面にて残し、子どもたち全員の署名押印をもらっておくことをおすすめします。

Q.内縁の妻にも生前贈与できる?
A.可能です。生前贈与は、法定相続人以外にも行うことができます。ただし、多額の贈与を行うと親族間で大きなトラブルになりやすいので、十分に注意してください。

Q.貴金属類を生前贈与として渡しても贈与税がかかる?
A.場合によってはかかります。特に高価な貴金属類を生前贈与した場合は、評価額によって贈与税の対象となるので注意してください。形見として子どもや孫に与えた場合でも、同様です。

Q.税理士に相談して生前贈与を行うと税務調査が入らない?
A.断言できません。税務署がチェックした際、申告内容に間違いや不明点があれば税務調査が入ることもあります。ただし、税理士に相談して申告手続きを行えば、税務調査が入るリスクが減り、入った場合でもスムーズに対応することができて安心です。

Q.生前整理で出た不用品の処分はどうすればよい?
A.信頼できる専門業者に依頼すると便利です。たとえば、以下のような条件を満たす業者なら安心できます。

  • 生前整理で豊富な実績がある
  • 丁寧な作業で定評がある
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まとめ

今回は、生前贈与のメリットについて詳しく解説しました。生前贈与をうまく活用することで、大切な財産をより多く残すことができます。ただし、贈与税および相続税関連の法律を正しく理解することが必要不可欠です。よかれと考えて生前贈与をしても、場合によっては課税対象となり、相続より多く税金を支払うケースもあります。生前贈与をフル活用して大きな節税効果を出すためにも、自己判断で進めず、信頼できる税理士に相談してみることがおすすめです。なお、生前贈与以外の節税対策や亡くなった後で親族にかかる負担を減らす方法もあるので、詳しく調べてみるとよいでしょう。