死亡後に受け取ることができる年金とは? 年金の種類や手続きを紹介

はてなブックマークに追加
Twitterでシェア
Facebookでシェア

年金受給者が死亡した場合、年金を受け取ることができなくなります。夫が亡くなった後に妻の年金はどうなるのか、親が亡くなった場合はどう対処すればいいのかなど、不安に思うことがあるでしょう。手続きや遺族年金など、分からない点が多いですよね。死亡後の手続きは速やかに行われければならないため、困ることがないようしっかり知識を持っておきましょう。

そこで、本記事では、死亡後の年金手続きや未支給分を請求する方法などについてご紹介します。

  1. 年金受給者の死亡後に確認すること
  2. 年金受給者の死亡後に行う手続きについて
  3. 未支給年金を請求する場合
  4. 遺族年金を請求する場合
  5. 年金の手続きについて相談する場合
  6. 死亡後の年金でよくある質問

年金には、遺族年金などもあります。手続き漏(も)れや受給ミスなどを防ぐためにも、本記事を参考にしてみてください。

1.年金受給者の死亡後に確認すること

まず、年金受給者の死亡後に確認すべきことをまとめました。

1-1.厚生年金か国民年金かを確かめる

加入していた年金が、厚生年金か国民年金かを確かめることが大切です。加入していた年金の種類により、手続きなどが異なります。

1-2.年金を受給していたのかを確かめる

亡くなった方が、年金を受給していたか確認してください。給付開始時期を迎えていない場合もあります。開始時期を迎える前に亡くなった場合、遺族年金などを受け取ることができない可能性もあるでしょう。

1-3.年金の振込日を確認する

年金の振込日によっては、亡くなった後の分まで支払われている場合があります。過払い分が発生した場合、年金機構へ連絡し、還付手続きをしなければなりません。

2.年金受給者の死亡後に行う手続きについて

年金受給者の死亡後、どのような手続きをすればいいのでしょうか? 受給停止手続きについてご紹介します。

2-1.年金受給の停止手続きは年金の種類によって期限が異なる

年金受給者が亡くなったら、年金受給の停止手続きを終えたか確認してください。厚生年金は死亡日から10日以内、国民年金は死亡日から14日以内に届け出が必要です。手続きが遅れた場合、不正受給などで罰せられることがあります。

2-2.受給権者死亡届を提出する

受給停止手続きをする際は、受給権者死亡届を提出しなければなりません。年金証書・死亡診断書などの提出が必要です。ただし、マイナンバーを日本年金機構へ登録済みの場合、日本年金受給権者死亡届の提出は省略できます。

3.未支給年金を請求する場合

未支給年金を受給する場合、どのような手続きを要するのでしょうか? 手続きの方法をご紹介します。

3-1.未支給年金について

年金受給者が本来受け取れる予定だった年金を受け取らないまま亡くなった場合、遺族は未支給分の年金を受け取ることができます。ただし、同一生計の遺族に限定されるので注意してください。

3-2.日本年金機構からお知らせが届く

未支給年金がある場合、日本年金機構からお知らせが相続人へ届きます。お知らせに記載された内容を熟読し、手続きを行ってください。

3-3.未支給年金を受け取ることができる順位は決まっている

未支給年金は、親族であれば誰でも受け取ることができるわけではありません。受け取ることができる順位も決まっているため、以下を確認しましょう。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 1〜6以外で3親等以内の親族

順位は決まっているものの、亡くなったときに生計を同一にしていた人が受け取ることができるのです。生計が別でありながら、受け取る順位が高いと主張しても、受給資格はありません。

4.遺族年金を請求する場合

遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族共済年金・寡婦(かふ)年金という遺族年金があります。それぞれの請求方法を覚えておきましょう。

4-1.遺族基礎年金

遺族基礎年金を受給できるのは、国民年金加入者の子どもが18歳未満の場合です。自治体の窓口へ請求してください。申請時に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票
  • 志望者の住民票除票
  • 所得証明書・課税もしくは非課税証明書・源泉徴収票など請求者の収入が分かるもの
  • 在学証明書や学生証(高等学校在学中の場合)
  • 死亡診断書の写し
  • 金融機関の通帳などの写し
  • 印鑑

4-2.遺族厚生年金

遺族厚生年金には、受給条件があります。厚生年金の被保険者が死亡したとき、もしくは疾患やケガによって初診日から5年以内に死亡したときです。また、老齢厚生年金の受給資格が25年以上あることも前提となります。障害厚生年金の1級もしくは2級を受給できる被保険者が死亡したときも条件です。請求時の提出書類は、遺族基礎年金と同じものとなります。請求先は、年金事務所です。

4-3.遺族共済年金

遺族共済年金は、公務員が加入する年金です。遺族厚生年金と同様の遺族共済年金を受け取ることができます。従って、手続きの仕方や提出書類は同様です。年金事務所へ請求しましょう。

4-4.寡婦年金

寡婦年金は、婚姻期間が10年以上あり、子どもが18歳以上もしくは子どもがいない場合に、妻が受給できる年金です。男性の場合は受け取ることができません。請求先は、国民年金の場合は自治体の窓口、厚生年金の場合は年金事務所となります。請求に必要な書類は、上記と同様です。

5.年金の手続きについて相談する場合

年金手続きの相談先についてご紹介します。

5-1.弁護士

受け取ることができる年金が分からない、手続きはどうすればいいのかなど不明点がある場合は、弁護士などの専門家へ相談するといいでしょう。年金受給や相続に詳しい弁護士がおすすめです。

5-2.年金事務所や年金相談センターを利用する

年金事務所や最寄りの年金相談センターでも、年金受給に関する相談を受けつけています。最寄りの相談窓口は、日本年金機構のホームページから検索可能です。

5-3.来訪もしくは電話で相談

年金に関する相談は、最寄りの相談窓口へ来訪するか、電話での相談となります。文書やファックスでも相談可能です。文書で相談する際は、年金手帳の写しや委任状などを用意しなければなりません。提出書類については、日本年金機構のホームページを参照してください。

6.死亡後の年金でよくある質問

死亡後の年金に関する質問を集めました。

Q.未支給年金や遺族年金はいつまでに請求しなければならないのか?
A.請求期限は、死亡から5年以内とされています。5年経過すると請求できなくなるので注意してください。

Q.死亡届を出さず、年金を余分に受け取った場合はどうなるのか?
A.不正受給で罰せられます。不正受給は、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金です。死亡日などの内容に虚偽がある場合は、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となります。死亡届を出さなかった場合は、30万円以下の罰金です。厳しい罰を受けることになるため、偽りなく届け出をしましょう。

Q.未支給年金や遺族年金などは、死亡届を出したら自動的に振り込まれることはないのか?
A.ありません。きちんと手続きをしなければ、受け取ることができない年金です。そのため、速やかに必要書類をそろえ、手続きをすることが大切なポイントとなります。

Q.請求時に書類を省略するにはどうすべきか?
A.日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は、住民票などの書類を省略することができます。マイナンバー登録をしているか確認しておきましょう。

Q.死亡一時金とはどんなもの?
A.死亡一時金は、国民年金の被保険者が死亡した際に受け取ることができるものです。ただし、国民年金第1号被保険者であること・納付月数が36か月あることなどが条件となっています。受け取ることができるのは、死亡した被保険者と生計を同一にしていた遺族です。自治体の窓口へ申請しましょう。

まとめ

死亡後に受け取ることができる年金は、未支給年金や遺族年金などです。いずれも死亡届を出し、申請手続きをしなければ受け取ることができません。請求期限は、死亡日より5年となっているため、早めに手続きをすることが大切です。年金に関する不明点は、最寄りの年金事務所や年金相談センターへ問い合わせましょう。年金支給や相続に詳しい弁護士もおすすめです。手続き漏れがないように注意してください。