賃貸物件の遺品整理のポイント! 自分でできる? 失敗しない業者の選び方
高齢化社会に伴い、高齢者の一人暮らしが増えてきています。それに伴い、故人が住んでいた賃貸物件の遺品整理などで悩む方も多くなっているのです。故人の遺品整理には、退去日・家賃・原状回復・掃除・ハウスクリーニングなど、さまざまな要素がからんできます。
そこで今回は、賃貸物件の遺品整理を効率的に行うポイントや、遺品整理業者の利用方法についてご紹介しましょう。
賃貸物件の遺品整理方法を知りたい、遺品整理をしたいがどうしたらいいのか分からない、という方にはぴったりの記事となっています。ぜひ最後まで読んでみてください。
1.賃貸物件の遺品整理について
まずは、賃貸物件の遺品整理の基本事項を確認していきましょう。
1-1.まずは賃貸借契約書を確認
賃貸物件を借りる際は、必ず建物賃貸借契約書(賃貸住宅標準契約書)を取り交わすのが原則です。契約書には、住居の特徴・構造・設備のほか、賃貸料・支払日・契約期間・解約などについてが記されています。明け渡し日もこの契約書に記されているため、片付けの目途(めど)として必ず確認しておきましょう。
1-2.賃貸物件の片付け・遺品整理で困ること
故人の賃貸物件の片付けで困るのは、残った家賃の支払日や退去日のことでしょう。家賃を無駄に払わないで済むように、大家さんや不動産業者に相談して、解約日や退去日を確認してください。そして、退去日に向けて片付けを行う必要があります。慌ただしくなりますが、ポイントをおさえて片付けに臨めば大丈夫です。
1-3.賃貸物件の原状回復について
賃貸物件の原状回復やハウスクリーニングについて、概要をご説明します。
1-3-1.賃貸物件の原状回復とは?
賃貸物件は、明け渡す際に原状回復を行う必要があります。原状回復とは、部屋を借りた時点の状態に戻すという意味です。ものの撤去はもちろん、ハウスクリーニングをしなければなりません。ただし、経年劣化による色あせや日焼け、カーペットについて家具の跡など、生活するうえで必ず起こりうる汚れもあるでしょう。これらの汚れについては、借り主に負担義務は発生しません。また、リフォームは、借りたときよりよい状態にすることになる(原状回復の範囲を超える)ので、当然貸し主の負担となります。
1-3-2.ハウスクリーニング代の負担は?
ハウスクリーニング代は敷金から引かれるのが一般的で、敷金-ハウスクリーニング代の差額が戻ってきます。部屋の汚れがひどい場合など、ハウスクリーニング代のほうが高くなってしまった際は、追加で支払う義務が発生する可能性もあるでしょう。敷金やハウスクリーニング代の請求については、契約書を確認し、必要以上の費用を払わないよう注意してください。
2.賃貸物件の遺品整理の仕方
賃貸物件を引き渡すためには、遺品や家財の撤去が必要です。
2-1.賃貸物件の遺品整理のポイント
2-1-1.複数人で行う
遺品整理は一人で行うと効率が悪いうえに、気がめいってしまいます。故人との思い出を語らいながら、複数人で一気に行うのがおすすめです。できれば男女複数人で集まり、力仕事・掃除・分類・ゴミ捨てなどを分担すると効率よく片付けられます。
2-1-2.ゴミの日や自治体の回収方法などをチェックしておく
片付けを進めるうえで、部屋の中のゴミをためないことが効率アップにつながります。ゴミがあると作業スペースが取れなくなるためです。そのためには、ゴミの回収日を逃さないようにする・時間のかかる粗大ゴミの処理は、事前に申請しておくといった方法があります。
2-1-3.リサイクルの手段を調べておく
遺品の中に、売れそうなものやまだ使えそうなものが多い場合は、あらかじめリサイクルの手段を調べておきましょう。主に以下のようなものがあります。
- リサイクルショップ(出張買取・持ち込み・宅配など)
- 不用品買取回収業者(出張買取・持ち込み・宅配など)
- ネットを使ったリセール(オークション・フリマサイトなど)
- 知人に譲る
時間がシビアな場合は、自宅まで回収しに来てくれる出張買取がおすすめです。買取できるもの・料金を払って回収を依頼するものをまとめて引き取ってくれるので便利でしょう。回収日が決まっていれば、それまでにこの作業を終わらせておこう、という目標にもなります。
2-2.遺品整理はどの方法でする?
遺品整理は、自分で行うか、プロに依頼するかのどちらかの方法があります。それぞれメリット・デメリットを見ていきましょう。
2-2-1.遺品整理を自分で行う場合
メリット
- 比較的安く済む(ただし、粗大ゴミが多い場合は費用がかさむ)
- のんびりと故人を偲(しの)びながら作業ができる
デメリット
- 不用品や買取品の分類や処分などが大変
- 供養したい場合、お寺などに別途依頼しなければならない
- 退去日など時間制限がある場合には不向き
2-2-2.遺品整理を業者へ依頼する場合
メリット
- すぐに終わる(最短1日)
- 不用品・買取品の分類や処分をまとめて依頼できる
- 供養も依頼できる
- ハウスクリーニング付きでお得になる場合も(大家や不動産業者と要相談)
デメリット
- 作業費用がかかる
- 業者選びを慎重に行う必要がある
3.賃貸物件の遺品整理業者とは?
次に、遺品整理業者の利用について詳しく見ていきましょう。
3-1.遺品整理の流れ
遺品整理までの主な流れは以下のとおりとなります。
- 問い合わせ・見積もり依頼
- 訪問日などを決める
- 訪問・正式見積もり
- 遺品整理作業
- 料金精算(作業費用と買取金額を精算)
- (業者によっては)遺品の供養
3-2.遺品整理の費用相場
遺品整理の費用は、一般的なワンルーム~1DKの部屋で5万~10万円程度が相場となっています。金額に開きがあるのは、遺品・不用品の数や量・片付けに使用するトラックの容量によるものです。また、ハウスクリーニングや特別清掃などがある場合は、別途料金がかかります。部屋の状況や遺品の量などによって料金は大きく変わるため、一度無料見積もりを依頼してみるとよいでしょう。
3-3.業者の選び方とは?
遺品整理業者を選ぶ際のポイントをご紹介します。
- 一般的な不用品回収とは別に「遺品整理」という名の業務を行っている
- 遺品整理士・古物商許可などの資格を持っている
- 遺品の供養をしてもらえる
- 見積もり・相談が無料で行える
4.遺品整理についてよくある質問
Q.遺族の家がゴミ屋敷なのですが……
A.ゴミ屋敷でも片付けをしてくれる業者はあります。大型トラックなどを使い複数人のスタッフで不用品を回収するため、自分で片付けるのとは比較にならないほど早く作業が終わるでしょう。作業中に出てきた貴重品などをピックアップすることもできます。
Q.粗大ゴミ費用の相場は?
A.粗大ゴミの主な処分費用は以下のとおりです。
- テーブル:1,000円
- タンス:大きさにより1,000~3,000円
- ストーブ類:1,000円
- ベッド:2,000円
- ソファ:1,000~2,000円
※家電リサイクル法対象家電(冷蔵庫・エアコン・洗濯機・テレビ)は、小売店などでリサイクル料金を支払って処分しなければなりません。主なリサイクル料金は2,500~4,600円程度で、運搬も依頼する場合は、運搬料金3,000円程度がかかります。
Q.明け渡しまで数日しかないのですが……
A.業者によっては即日1日で遺品整理を行ってもらえます。急ぎの場合は電話などで相談しましょう。家賃を1か月分多く払うよりも安く済むこともあります。
Q.悪質業者を見抜く方法は?
A.上記でご紹介した業者の選び方をご参照いただくとともに、以下のような業者は避けましょう。
- 見積額やサービス内容を書面でもらえない
- 依頼していないのに自宅まで訪問営業にくる
- 無料廃品回収車
- 資格・営業所・身分が不明確
特に、ご高齢の方や女性が遺品整理業者とやり取りをする場合は、家族・親族が付いてあげるようにしましょう。
Q.遺品整理をなるべく安く依頼するには?
A.複数の業者に見積もりを取ることによって、より安い価格でよりよいサービスを受けられるでしょう。ただし、基本料金が破格でも、別途オプション料金などで費用がかさんでしまっては意味がありません。見積書をもらい、料金とサービス内容をよく検討しましょう。
まとめ
賃貸物件の遺品整理などについてご紹介しました。遺品整理作業は、故人との思い出を振り返る機会でもありますが、退去日によっては時間との勝負となる場合もあります。気持ちよく賃貸物件を明け渡すためにも、遺品整理のポイントをしっかりおさえましょう。また、業者を利用する場合は、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。